介護保険制度 必要なサービスが受けられる制度に ー政府への署名活動を展開ー

六角橋交差点にて署名活動

介護険制度が開始されてから20年近くなります。

介護保険法では「・・・・尊厳を保持し、その有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう、必要な保健医療サービス及び福祉サービスに係る給付を行う・・・」と定められています。

しかし、3年ごとの改定の度ごとに、本来の介護保険制度の理念からかけ離れてきています。

前回の改定では、要支援1・2の人が介護給付から外され、介護予防・日常生活支援という自治体の裁量で行う新しい事業に移行しました。国の制度で保障されなくなりました。

次回の2021年改定で、更に介護保険の給付を削減していこうと、政府内で検討が進められています。

主な検討事項は、

 *要介護1.2の人の「訪問介護(ヘルパー)の生活援助」と「通所介護(デイサービス)」を介護給付から外す

*利用料負担が2割~3割になる人の対象を拡大する

*ケアプラン作成費の有料化

など、サービスの削減や利用の抑制につながる内容です。

要介護1・2の認定の割合は、介護保険の認定の約6割です。一番多く利用している人たちが、対象になります。又、認知症の割合も多く、生活援助サービスの利用率が最も多くなっています。今回の改定は、そこをターゲットにし、介護保険に係る費用を抑えたいという財務省などの政府の意思が、如実に表れています。

生活援助サービスや通所サービスが、介護保険でのサービスではなく、自治体のサービスになってしまうことで、必要なサービスが削減され、利用者の状態の悪化、ひいては重度化につながります。又、家族の介護の負担が増え、仕事を辞めたり、減らすことにもなります。今でも、年間、10万人近い方が、介護離職をせざるを得なくなっています。

 逆に、利用料金の負担の増大が検討されています。これまでは、1割負担の人は、年収280万円以下でしたが、年収190万円以下に引き下げることが検討されており、結果として、多数の方が2割負担となります。3割負担の対象も広がる方向です。

ケアプランの作成は、サービスを受けるために義務付けされており、サービスの入り口で、利用を抑制しないために、無料でした。(作成費は、介護保険制度で100%ケアプラン作成事業所に支払っています)

しかし、今回は、これを有料化にする検討です。無料で作成できることで、誰もが、サービス利用をためらわずに入り口からスムーズに進めます。必要なサービスを受ける大前提です。

給付と負担の大幅な見直しという大枠を決めているのは安倍政権です。9月20日に、介護を含めた新たな会議「全世代型社会保障検討会議」が、官邸で開催されました。内閣官房が事務局を担う会議であり、官邸主導で進む議論となります。会議の委員には、介護、医療の現場の方や当事者の代表の方は一人もいません。

介護を支えるために、ワーカーズコレクティブなどの多くの市民福祉事業団体が介護保険事業に参入し、訪問介護(ヘルパー)や通所介護(デイサービス)を中心に在宅での生活を支えてきました。しかし、この間のサービスの利用抑制、報酬単価の切り下げにより、小規模事業所の撤退が続いています。

こうした動きに対し、市民と事業者から、声を上げていこうと神奈川ネットワーク運動、神奈川ワーカーズコレクティブ連合会、ワーカーズコレクティブ・ネットワーク・ジャパン、東京生活者ネットワーク、(特非)アビリティクラブたすけあい、(特非)ACT・人とまちづくりが連携して署名活動を続けてきています。

<署名内容は>

財務大臣、厚生労働大臣あてに

*要介護度1・2の「訪問介護の生活援助」と「通所介護」を地域支援事業に移行せず、介護保険給付で行うこと。

*ケアプラン作成は有料化せず、全額保険給付で継続すること。

11月15日まで行いますので、ご協力くださる方は、神奈川ネットワーク運動まで