介護保険、掛け捨てにしないために!!

介護保険制度が、始まって24年。「介護の社会化」の実現を目標に「小さく生んで大きく育てる制度」を言われ、徐々に安心の制度に向かうと期待していました。

ところが、早くも開始5年後に縮小パターンが始まりました。要介護1~5と要支援の6段階の介護認定区分を、要介護1~5と要支援1・2の7段階にしました。そして、要支援の方のービスが、介護保険から市町村事業に移され、全国一律のサービスではなく、市町村の状況に合わせたサービスに変えられました。

その後の3年ごとの改定は「サービスの後退」の改悪の一途をたどっています。

そして、今回の改定(2024年度)に向けて政府がもくろんでいた改悪案で、これまで政府が小出しに出してきた改悪の方向性がはっきりしました。

それは

<介護保険の対象者を要介護3以上の重度者に限定>

<身体介護に限定し、生活援助をはずす>

<ケアプランを有料化>

<利用者負担を2割、3割に上げる>

<施設でも、室料や食費を徴収する>

・・・・・つまり、サービスの抑制と負担の増加です。介護保険は、公的制度ですので保険料の支払いは強制です!しかし、サービスは使えなくしていく

・・・・・掛け捨ての保険になりつつあります。

これまでも

当会は、「介護の崩壊をさせない実行委員会」(注1)に参加し、介護保険改悪の動きに対し、介護現場で働いているメンバーや利用者の切実な声を聴きながら、反対のアクションを行ってきました。

特に、2019年の秋には、実行委員会で集めた2万2571筆の署名を添えて厚生労働省と財務省に

<要介護1・2の訪問介護の生活援助と通所介護を地域支援事業に移行せず、介護保険給付で行うこと>

<ケアプランの作成は有料化せず、全額保険給付で継続すること>

を要望しました。

12月4日にも

衆議院議員会館で「介護の崩壊をさせない実行委員会」が行った厚生労働省の職員との円卓会議に当会のメンバー(訪問介護ヘルパー)が参加しました。

円卓会議では

<深刻な人手不足に対しては、介護報酬の基本報酬を引き上げること>

<利用者の自己負担2割の対象者を拡大しないこと>

<ケアプランの有料化は、介護の放置による虐待や状態の重度化につながる>

<要介護1・2は、地域支援事業である総合事業(注2)では対応できない>

と訴えました。

 

取り合えず今の所は

ケアプランの有料化や介護度1・2の地域支援事業への移行は、先延ばしになりましたが、「2027年度の改定」には実現させようとしています。

利用者の自己負担2割の拡大は、今急浮上した「自民党の裏金疑惑」のこともあり、予算編成で結論を出すことになっていますが「あきらめざるを得ない」という声があるとのことです。

 

しかし、介護報酬改定率は

来年度の介護報酬の改定率は、12月20日の財務省と厚労省の閣僚折衝で、

「+1,59%」に決まりました。しかし、介護現場の感覚からは、「お湿り程度にもならない」との声が聞こえてきています。

これでは、到底深刻な人手不足の解消にはつながりません。

保険料や利用者負担はこのままに、税金を投入する割合をこれまで以上にし、大幅な基本報酬の引き上げをすべきです。防衛費に投入する莫大な税金は用意するのに。

 

これからも

介護保険は、国の制度で政治が決定します。

市民から現場から声を上げ続け、しっかりと地域から政治参加し、市民のための政治につくりかえる活動が必要です。

樋口恵子さんは、「長寿は、平和の賜物です」「老年を知らない社会は貧しい社会」と述べています。

「長寿を本当の意味で、誰もが寿ぐことが出来る社会」にするために、市民の主権を行使しなければなりません。

 

 

注1:参加団体は

*NPO法人アビリティクラブたすけあい(ACT)

*ACTたすけあいワーカーズ・コレクティブ連合

*NPO法人ACT・人とまちづくり

*神奈川ワーカーズ・コレクティブ連合会

*生活クラブ運動グループ・横浜ユニット連絡会

*東京・生活者ネットワーク

*神奈川ネットワーク運動

*ワーカーズ・コレクティブネットワークジャパン

 

注2:介護予防・日常生活支援総合事業の略